東京湾にてドローンレベル3飛行による医薬品配送実証実験を実施
エアロダインジャパン株式会社
代表取締役社長 鹿谷 幸史
2024年7月14日
エアロダインジャパン株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:鹿谷 幸史)は千葉市ドローン宅配社会実装サポート事業に採択され、医薬品配送の実証実験を7月10日(水)に実施いたしました。
実証試験の概要
本実証試験では、日本調剤谷津薬局から千葉市美浜区にある高齢者施設の「プレザンメゾン美浜」まで医薬品を陸送+空輸で配送いたしました。谷津薬局で交付された薬剤をSBS即配サポートが物流倉庫まで陸送し、同倉庫の屋上からプレザンメゾン美浜まで往復約30kmのルートをドローンで空輸する予定でしたが、天候の影響によりドローン離陸場所を変更し、茜浜緑道からプレザンメゾン美浜までの約25kmを飛行いたしました。また、ウィンチ機構により無着陸で荷物を積み下ろしを実施し、医薬品配送用に開発した運搬箱やトラッキングシステムとともに、技術面で問題がないことを確認いたしました。さらに、制度面での制約条件やコスト要因等を分析し、医薬品ドローン配送の社会実装に向けた改善点を抽出しました。
本実証のポイント
医薬品の配送
医薬品の配送には、食料品等の配送より厳重な取り扱いを求められます。厚生労働省の「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」に基づき、品質保持や第三者が誤用しないための運搬箱や、その位置をトラックするシステムなどを開発いたしました。これらを含む確実な医薬品配送のための事業計画を作成し、医療関係者と調整を行うなど、医薬品配送ならではの課題解決に取り組みました。簡易システムながら、「ドローンによる荷物の輸送」だけでなく、前後の物流プロセスと統合できることを確認いたしました。
ウィンチ機構による無着陸での荷物積み下ろし
法令上、ドローンは離陸前点検が義務づけられています。ドローン物流で宅配先に着陸した場合、復路飛行前にお客様に離陸前点検をお願いする必要があり、ドローン物流実用化の障害の一つでした。ウィンチ機構により無着陸で積み下ろすことにより、この制約をクリアすることができます。本実証では、ドローンプロペラの風圧で荷物が大きく揺れることなく、安定した姿勢で荷物を積み下ろすことができることを確認いたしました。
都市部での目視外飛行
レベル4飛行が解禁されましたが、機体認証等の制約が多く、都市部での目視外飛行の事例は多くはありません。該当エリアは沿岸部までDID地区に指定されており、陸上での目視外飛行は難しい地域です。海上を主な飛行ルートとすることにより、無人地帯における目視外飛行(レベル3)を実現し、ドローン配送への道を拓きました。
長距離飛行
往復25kmの長距離飛行は、通常のバッテリードローンでは実現が難しいため、長距離飛行の実績が多い株式会社エアロジーラボのハイブリッドドローンAerorange G4-Sを活用しました。本機は、最大飛行時間140分以上、航続距離100km以上の飛行性能を誇り、物流の他、測量や監視業務に多く使われている機体です。今回の実証においては、海風が強い難しいコンディションの中でも終始安定した飛行を行えることを確認しました。
今後の展開
本実証では、医薬品配送を含め、都市部でのドローン物流に求められる要素を多く盛り込み、技術的に実現可能であることを確かめることができました。一方、規制による制約条件やコスト増要因など、ドローン物流の実用化に向けた課題も浮き彫りになりました。今後、飛行に要したコストを分析しコスト低減レバーを特定するとともに、エアロダイングループの45カ国でのオペレーションネットワークを活用し、安全性を向上させる技術等の開発・輸入や、諸外国での運用実態の情報提供等による規制緩和の働きかけ、インフラ整備の活動を通じて、日本におけるドローン物流の実用化に向けた貢献を続けていきます。
会社概要
エアロダインジャパン株式会社は、マレーシアに本社を置く世界最大のドローンソリューションプロバイダであるエアロダイングループの日本支社です。風力発電所・太陽光発電所・橋梁・プラントなどのインフラ点検のほか、ドローン物流、監視、精密農業などドローン前提社会の実現に向けた取り組みを行なっております。
会社ホームページ:https://aerodyne-japan.com/